競合から共栄の時代へ移るなかで【美】も【ビジネス】も分けずにこだわって追求を|津村佳宏社長(株式会社RAIBY)

変わりゆく時代を見定め、世代交代で託したミッション

1982年、株式会社アデランスに入社し、代表取締役を10年務めた津村佳宏氏。2024年に退任し、世代交代を果たした。

「昨年アデランスは55周年を迎え、私も還暦となりました。残りのビジネス人生での役割を考えたところ、次世代に任せることが1つの大きな仕事でした。

次に託す人は、誰でも良い訳ではありません。不適切な人が就任してしまうと、私利私欲のために動く可能性もあります。

そこで、約1年前から世代交代の準備に入り、長年育ててきた鈴木洋昌を新社長に据え、外部からも数名の適任者を入れて新体制を作りました。ネクストアデランスは次世代に引っ張ってもらいます。

かつてアデランスは東証一部上場企業だったのですが、2017年の2月に創業者の根本信男と私と協力ファンドの三者でMBOによる、株式非公開化を実施し、その時点で三者の主要株主の1人となりました。今後は執行はしませんが、株主としてアデランスをサポートしていきます」

現代表取締役社長の鈴木氏は、津村社長が川越店の店長を務めていた36年前に入社した。仕事だけではなく、プライベートでもゴルフや川越時代の友人たちとの食事会など、公私共に交友がある。

「なぜ鈴木に任せたかというと、彼はトップダウンではなくサーバントリーダーシップ型だからです。社員の声を聞いた上で判断する能力が備わっていて、人望も厚い。ヨーロッパにおける責任者としての経験もあるので、次期社長を任せられると期待して教育してきました。

これからのアデランスのミッションは売上1千億円と再上場です。本来であれば、そこまで達成してからバトンタッチをしたかったのですが、コロナによってスケジュールが変わりました。到達するには、あと3年くらい掛かる見込みです。鈴木は今年56歳なので、そこから交代しても還暦が迫っています。代表をやるからには、ミッションも必要ですし、今のほうが新世代メンバーの手腕が活かせると信じて託しました。アデランスはトータルヘアソリューションカンパニーとして、さらに成長していきます」

~中略~

熟練としての新たな幕開け 目指すのは「共栄」の在り方

~中略~

津村社長によると、仕事の事前準備がしっかりできているかは、服装や身だしなみにも現れるという。身だしなみにも360度の観点は必要なのだ。

「私が携わっている企業の中で、業績が振るわず、組織体制や基本的な業務など全てを改善しなければならない企業があります。私が経営アドバイザーとして携わり出した頃に大企業を紹介し、商談のため同行しました。

商談は事前準備が重要であり、提案資料の作成や細かなミーティングを実施し、用意周到に準備をしましたが、当日待ち合わせ場所にて、面談担当者の服装が気になりました。季節は夏場で猛暑でしたが、ヨレヨレのワイシャツや頭髪が整っていないことに第一印象からして『まずいな』と感じました。

案の定、面談担当者は説明力も低く、事前に打ち合せた課題や想定問答も頭に入っていない。私は商談ではほとんど失敗はしないのですが、残念な結果となり、私自身もやはり一から十まで、細部の細部まで指導が必要と強く反省し、その後、担当者たちに何を直すべきかを話しました。

事前準備が8割といわれますが、周到な準備は効率が良く、スピード感があります。商談や面談があれば、どんな形になるかを想定し、逆算して考えなければいけません。それができないと、ぶっつけ本番になってしまいます。

身なりが整っている人は、先のことが見えていて、戦略的な考え方を持っています。今日1日の仕事の流れ、どういう人と会うのか、打ち合わせの流れ、そういった点をしっかり準備をして行動していますよね。TPOによって服装もカジュアルにしたり、スーツを着たりと判断できます」

服装が行き届いていない人は、専門的なルーチンワークの担当者が多いと語る。津村社長は大手企業の部長クラスの会合に参加した際、“おしゃれ感のないおじさまの集まり”という印象を受けたそうだ。「上に上がるには第一印象が重要なのです」と話す。

そこから抜きん出るには、もう一歩進まなければいけない。中間管理職の教育システムも必要だ。

「昔はビジネスというと男性が中心でしたが、……

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(取材・執筆:水野友紀子)

 

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株式会社RAIBY
代表取締役社長CEO 経営総合プロデューサー
津村佳宏

つむら・よしひろ/早稲田大学卒業。1982 年に株式会社アデランス入社。営業やマーケティング部を経て、代表取締役専務、2017 年に代表取締役社長COO、2018 年に代表取締役社長グループCEOに就任する。アデランス入社後に経営学やマーケティング学を学ぶため、社会人学習にて早稲田大学に入学し、卒業。時代の変化を見据え、毛髪関連事業のみならず、周辺事業である美容およびヘルスケア事業を構築する。海外事業にも注力し、海外市場を開拓するなど、経営全般の総指揮を執り業界発展に貢献した。次世代の経営体制を考え、2024年5月に長年育ててきた後輩に代表を託し、新体制を構築し、退任する。これからは社会経済に寄与すべく、2024 年6月に株式会社RAIBYを設立し、実践的な経営アドバイザーとして、大企業からスタートアップ企業まで経営サポートし、実績を出し、業績向上に寄与している。

公式サイト:https://raiby.co.jp/

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